Case Studies事例

コミュニケーションの重要性を体感したことで、
声や表情も駆使して伝える大切さを思い出した

パナソニックオペレーショナルエクセレンス株式会社さま

組織・人材開発センター L&Dソリューション部 兼 エンプロイーサクセスセンター人事ソリューション企画室 HRBPパートナー課 課長
西峰 有紀子様(写真右)

組織・人材開発センター L&Dソリューション部 HRBPパートナー課 主務
大竹 結様

特別カスタマイズプログラム

ご利用:パナソニックグループ各事業会社 課長職の方々
テーマ:課長向け研修「R3プログラム(Refresh、Reflection、Revitalization)」

パナソニックグループの各事業会社、主に課長職を対象に行われたダイアログ・イン・ザ・ダークビジネスワークショップは、2023年に合計8回にわたって実施されました。
研修を主催されたパナソニックオペレーショナルエクセレンス株式会社のご担当者様にお話を伺いました。

冒頭のチェックインの話題は「ハマっているもの」で、温泉巡り、昼飲み、ジョギング、カフェ巡り、思い立って遠出することなど、朗らかでアクティブな印象の皆様でした。(202312月開催時)

南の島に行く代わりに、真っ暗闇でスマホもパソコンからも離れる時間を過ごしてほしい

――今回、ダイアログのビジネスワークショップを導入された理由を教えてください。

西峰様
「パナソニックグループ全体の課題として、“ミドルマネジメントクラスの活性化”というテーマがありました。ミドルマネージャーは非常に忙しい中で多様なチームメンバーのマネジメントを求められ、自らを振り返る時間が取れず疲弊しているのではないか、という現状分析から、仕事を離れリフレッシュし、自らを内省することを軸としたR3プログラムという新しい研修を開発しました。
とはいえ一般的な座学研修では、研修中にどうしても仕事が頭をよぎって学びにどっぷり浸かることができないのでは、という懸念がありました。本当は仕事を忘れて南の島あたりに1週間ほど行っていただけるのがいちばん良いのですが、現実的ではありません。そこで、スマホもパソコンも一切持ち込めない状況で強制的に仕事から離れてもらおうと考え、ダイアログ・イン・ザ・ダークから始まる2日間の研修を開発しました。」

リフレッシュだけでなく、言葉に出すコミュニケーションによる安心感を体感

――今回の研修は複数回にわたる開催でしたが、共通してのご感想があれば、教えてください。

西峰様
「受講者の共通の感想としては、次のような声が多く上がっていました。

  • 非日常が体験できた。
  • 普段やり取りのない参加者との精神的な意味も含めた横のつながりができた。
  • 多様性への理解が深まった。自分も多様性のひとつであると気づいた。
  • 視覚が閉ざされることで、いかに自分が視覚に頼って生活していたかが分かった。
  • 「言わなくてもわかるだろう」と思っていたことも「声を出さないと伝わらない」ということに気づいた。

「仕事から離れてリフレッシュしてもらう」ことを目的としたダイアログ・イン・ザ・ダークでしたが、実際にはそれだけでなく、言葉に出すコミュニケーションによる安心感や協働への気づきもあったようです。」

大竹様
「実はひとりだけ、『暗い・狭いところがどうしても怖い』ということで、暗闇に入れなかった人がいました。チーム内でそのことに気づいた人が、終盤の薄明かりの部屋で振り返りをするとき、暗闇に入れなかった人にテーブルの真ん中の席に座ってもらい、暗闇でどんな体験をしたのかを情報共有したのです。こうして丁寧に受け入れてフォローすることの大切さへの気づきもあったようです。」

成果主義に見えていたリーダーが、寄り添って話を聞くように変わった

――業務に活かされていると感じられた点やエピソードなどはありますか?

大竹様
「たとえば、これまでオンラインでのミーティングで、なんとなく全員カメラオフにすることがベーシックになってしまっていた部署では、R3プログラム後にカメラをオンにして相手にリアクションがより伝わるようにやり方を変えていったそうです。コミュニケーションの重要性を体感したことで、声も表情も駆使して伝える大切さを思い出したことからの変化だったようです。」

西峰様
「研修後のフォローアップ時に、部下からの上司の変化を聞いたアンケートで、『以前は成果主義に見えていたリーダーが、寄り添って話を聞く感じに変わった』とありました。それも複数の人から。コミュニケーションスタイルの変化が部下にも伝わったようです。R3プログラムだけによる変化ではないかもしれないけれど、あきらかに影響はあったと思われます。

また、それまで言葉だけで理解してきた『多様性』を体感したという声もありました。研修前は、多様性が自分の人生や業務において、いったいどんなことに関わるの?何を変えればいいの?と思っていた人も多かったかもしれません。それが、暗闇という環境の中で不安を感じる人もいれば楽しんでいる人もいて、同じシチュエーションでもまったく違う感じ方をする人がいるとわかったんですね。そのことが「大丈夫だよ」「後ろの人もついていけているよ」という言葉に表れて、不安な人を安心させるための行動が自然とできるようになっていました。様々な背景・価値観を持っている人たちが一つのチームとして成果を上げ続けるために、自分ができることは何か?を考えるよい機会となったと思います。」

西峰様
「実施後アンケートの中で印象的だったエピソードがあります。ダイアログ・イン・ザ・ダークの最後の振り返りで、『暗闇ではこうしたコミュニケーションがスムーズにできるけれど、特別な環境だからできることだったのでは。明るいところでは元に戻りそう。』という感想が参加者から出た時に、アテンドの方が『暗闇でできたことは明るいところでもできますよ』と答えてくれたそうです。まさに非日常と日常がつながった瞬間でした。」

研修内容をパッケージで固めることなく、柔軟に練り上げてくれた

――今後、この研修をどんな方に受けてもらいたいと思われますか?

西峰様
「今回は管理職が対象でしたが、チームビルディングや内省にも効果的とわかったので、年齢・階層問わず様々な方におすすめできそうです。
今回の開催までに、研修の学びを最大化するために何を体験してもらったらいいか、R3プログラムの全体像を踏まえた上で暗闇の中での体験プランについて何度も寄り添って考えてくださったことに感謝しています。“ダイアログ・イン・ザ・ダークのビジネスワークショップ”というパッケージの中に組み込まれるということではなく、私たちがしたいことをよく汲み取って提案いただきました。『暗闇』が持つ可能性を今後も活かしていきたいです。人材育成の武器になる研修だと思いました。」